いわき市は東北地方および福島県の最南東端に位置し、南は茨城県に接しています。海岸線は約60㎞、面積約1,232㎢、人口約32万人の太平洋に面する温暖な都市です。 いわき市が5市4町5村の合併で誕生したのは、昭和41(1966)年10月のこと。城下町、国際港、漁港、観光・温泉など多様な機能を有する広域多核都市でもあります。
平成23(2011)年3月に発生した東北地方太平洋沖地震に起因する地震被害だけでなく、地震に伴う大津波、原子力発電所事故などいくつも被害に及んだことから、総称して同年4月1日に命名されました。いわき市で起こった主な事象は、次のように大別されます。
発生日時:平成23(2011)年3月11日14時46分
震源:牡鹿半島の東南東約130㎞の太平洋の海底
地震の種類:海溝型地震
地震の規模:マグニチュード9.0
いわき市内の最大震度:6弱(最大震度:宮城県栗原市 震度7)
東北地方太平洋沖地震による各地の震度
人的被害:死者468名(関連死138名を含む)
津波の高さ:最大津波高8.57m(平豊間)
建物被害:91,180棟 うち 全壊 7,902棟
いわき市および周辺Map
広域多核都市であるいわき市では沿岸域、市街地、山間部によって被害の様相はさまざまでした。市北部の久之浜、大久、川前の一部では福島第一原子力発電所から30㎞圏内に位置していており、影響を大きく受けました。また、同年4月に発生した本市南部を震源とする内陸直下型地震は、震源周辺地域に大きな被害をもたらしました。このように、震災により市内では地域によって違った様相を見せていました。
久之浜地区における津波被害 【沿岸域】
市立図書館(平地区)の被害 【市街地】
内郷地区の市道沿いの崩落 【山間部】
商品が入荷しないスーパーマーケット 【原発事故】
田人地区の市道被害(4.11地震) 【内陸直下型地震】
このようなことを背景に、いわき市においては多種多様な画像が遺されることになり、「いわき震災伝承みらい館」では、大地震及び大津波被災の状況や救助活動、ガレキの撤去、ボランテイア活動、震災復興土地区画整理事業など多方面にわたる多くの画像データを収集・保管し、整理・分類のうえ、「震災アーカイブ検索」として発信しています。
これらの多様な画像データから、震災直後の様子ばかりではなく、数多くの支援の輪や市民活動、原子力発電所事故に伴う避難者の受け入れや本市住民の避難など、他の地域では見られないような姿を見ることができます。それはいわき市ならではの、震災からの復旧・復興の歩みでもあります。
救助活動
ボランティア活動
小浜・岩間地区復興協議会
双葉ダルマ市とだるま神輿
震災アーカイブは、一般的に震災を起点として、震災に関連のある事象を捉えるものですが、当館における震災アーカイブでは、もう一つの側面として、連綿と続く地域の歴史のなかの震災として捉え直し、震災以前の地域を撮った画像をつなぎ、どのように地域が変化していくのかという、定点観測的な振り返りを試みています。震災をスタート地点や特殊な事象として捉えるのではなく、永い歴史のなかの出来事として位置づけています。つまり、地域を軸とした震災前-震災-震災後という時系列の流れです。
大國魂神社の浜下り行事(2001年5月)
サイクリングとサーファー(2007年11月)
東日本大震災による被害(2011年3月)
防潮堤完成記念の像(2019年9月)
【定点観測(例)】平豊間の変遷(塩場・八幡町を南に向かって見る)
このような画像の整理を行うことで、市内の各被災地域が震災という出来事を経て、どのような変貌を遂げたのか、という観点からも見ることができます。 当館の「震災アーカイブ検索」では、震災を入口としてさまざまな「いわき」をご覧いただくことができます。震災学習はもちろんのこと、皆様の多様な学びにもご活用ください。
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